信仰―法話コーナー


法話

初夏に【2018年5月の法話】

今年は春先にかけて寒暖の差が激しく、三月の中旬頃まで肌寒い日が続き、桜の開花は三月末頃と予想されていましたが、急に暖かくなり、開花も一気に早まりました。そして、四月初旬の数日の間は、満開の桜を見ることができました。

私ごと、四月最初の土曜日の良き日、大聖院観音堂にて結婚式を挙げさせていただきました。桜もその日まで散らずにいてくれたら良いなと思っていましたが、開花が早まったためか、また前日に春の嵐となったせいか、既に花は散り始めており、もう葉も出始めていました。

その日を迎えるまで、結婚式の準備等に忙しく、気持ちにも余裕がありませんでした。その焦りが「桜の花も散らずに残っていて欲しい」という気持ちと重なるようでした。花も思うようにならなければ、焦りは募るばかりです。益々余裕がなくなります。そうした焦りからか、本当に皆さんが祝福してくれるのか、喜んで列席してくださるのか、不安に思うこともありました。

緊張のさなか始まった挙式、そしてささやかながらの披露宴。そうした席では、本当に多くの方が祝ってくださっていることに感謝するとともに、感動に涙しそうになりました。列席くださった皆様のお顔を見ていると、皆様の思いを受け止めると、本当に有難く、先の不安に思ったことは嘘のように感じられました。

満開の桜のなかでの挙式を夢見ていたわけですが、挙式当日に妻は「私は葉が出始めた桜も、緑とピンクが混ざってきれいだと思いますよ」と言いました。その言葉に、私は満開の桜のことだけに囚われてしまっていたのだと気付きました。ただ桜に囚われるがために、皆様から祝ってもらえていないから花も散るのだと勝手に思い込んでいたような気がします。

その囚われに気付くと、葉桜も多くの木々の新緑も眩しく感じられ、今まで気にもしなかった境内に咲く山躑躅の花もとても鮮やかに見えてきました。そうした多くの木々や花々が、今度は祝福してくださる皆様の笑顔と重なるようでした。

何かに固執し、一つの考え方に囚われてしまうと人は周りが見えなくなってしまうものです。そして、不安や恐れを抱いてしまうのではないでしょうか。周りが見えないと気付きもなくなり、思いやりも感謝の気持ちもなくなります。でも、こだわりを捨て、少し視野を広げてみると物事の見え方は全く違ってくるものです。また、それまで目を向けることがなかったものにも気付くことができます。気付けば感謝も生まれます。

初夏を迎えて、今は新緑が眩しく、陽射しもキラキラとしています。季節は春から夏へと移り変わりました。明日も鮮やかな朝になることを祈りつつ。

合掌

(日高 誠道)

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