信仰―法話コーナー

法話

霜 月【2017年11月の法話】

秋から冬へと季節移り変わるこの時期は紅葉や様々な旬の物がたくさんあります。宮島も“安芸(秋)の宮島”と呼ばれるだけあり、紅葉の有名なところでございますし、また牡蠣や穴子なども有名でございます。

古くから日本ではこの季節の移り変わりを暦で表わしており、この暦には新暦と旧暦があり、今日行われている行事や習慣も旧暦に基づいて行ったりなど、新暦に変わった今でも深く関わっております。この十一月は霜月といい、いささか寒いように感じられますが、旧暦においては十、十一、十二月をさしておりました。霜月の意味は「霜が降り出す時期」というのが一番有名な云われですが、古来より秋の収穫を神様に感謝する祭りが執り行われていたことから「食物月(おしものづき)」と呼ばれていたものが訛ったとも伝えられています。

現在、十一月二十三日は勤労感謝の日とされており、その名の通り「働く人」に感謝する日というイメージが強くあると思われますが、昭和二十三年に国民の祝日に関する法律で制定される前は「新嘗祭(にいなめさい)」と呼ばれていました。新嘗とは、その年に収穫された新しい穀物を食すことをいい、古くから天皇陛下がその年に収穫された五穀や新酒などを天照大神など天地の神々に供えて収穫に感謝し、その後、天皇陛下自らも味わうという儀式の事です。霜月というのは、食物の収穫に感謝をする時期なのです。

仏教においても、食べることは修行の一環です。仏教が生まれたインドでは、施された食べ物を選ばず残さず感謝の気持ちを持ってすべて食べる修行、托鉢が行われてきました。厳密には自分のために殺生した食材や、修行の妨げになる刺激物を食べることを禁止しているものの、日常生活において何よりも大切なのは、出されたものに感謝して何でも残さず綺麗においしく食べることとされています。

食に限らず今ある様々なものに感謝して生きることは当然のことですし、今に言われ始めたことでもありません。しかし、食べ物を頂く前に手を合わせる事や、感謝をすること、そういったことに対しての気持ちが些か見受けられないような気がします。当たり前のことなのですが、その「当たり前」を今一度思い返してみていただければなと思っております。

合掌

(江本康亮)

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