信仰―法話コーナー

法話

月輪(がちりん)【2016年12月の法話】

今年の十一月十四日は、スーパームーンといって六十八年ぶりに月が地球に最も近くに見える日でした。あいにくの雨模様でみれませんでしたが、翌日の秋季大祭三鬼大権現火渡り神事は快晴に恵まれてその晩の満月はとてもきれいでした。

日本では「十五夜お月さんにはうさぎが餅をついている」と言われていますが、アラビア「ほえているライオン」、ドイツ「薪をかつぐ男」、韓国では「うさぎの餅つき」、中国では「不老不死の薬を作っているうさぎ」、アメリカでは「女性の横顔」、インドネシアでは「女性が編み物をしている姿」などなど、世界各地では様々な見え方があるようです。

月にちなんだ、お釈迦様の前世の物語の中にこんなお話があります。
 今は昔の物語。
 うさぎときつねとさるの三匹の動物が仲良く善行を積む修行に励んでいた。

それを見ていたインドラ(帝釈天)が「彼らの修行が本物かどうか試してやろう」と老人に扮して物乞いをした。要領の良いきつねとさるはすぐさまに食べ物を用意し老人のお腹と心を満たしたのだが、臆病なうさぎは全く食べ物が見つからず、更にはこわくて狩りも出来ずにいよいよ困り果てて「このままではこの人間にきっと殺される。それならば…」と一計を案じ、きつねとさるに枯れ木を集めて焚火をさせた。きつねとさるが「火をおこして何をするのか」とたずねると、うさぎは「食べ物が見つからないので私を食べていただきます」と火の中に自ら飛び込んで焼かれた。それを見ていた老人は元の姿インドラに戻り、うさぎが火に飛び込んだ時の姿をそのまま月面に刻み込んで皆に見えるようにした。「人々が月を見る度にこのうさぎの尊い行為を思い出すように」と。(月にかかる雲とはうさぎが焼かれた時の煙だそうです)

これはこの身を捨ててまで人に施しをする「捨身(しゃしん)」という行為のお話です。

密教では、「満月」のことを「月(がち)輪(りん)」といいます。金剛界曼荼羅でも、仏さまの背景に、白い満月が描かれているように、月と密教は、切っても切り離せない関係にあります。月は、その形が円満で欠けることなく、その白い光が清浄で清涼なことから、密教では智徳円満、仏心、菩提心などの象徴とされてきました。

また、仏教では、人間の苦しみの根源は、貪瞋痴の三毒であるとされています。貪(とん)は必要以上にむさぼり欲しがる心、瞋(じん)は怒りの心、痴(ち)は物事の真理を理解できない心を指します。月輪のもつ清浄、清涼、光明という三徳は、こういった三毒を洗除する働きがあるとされています。

毎月一日、十五日は三鬼大権現さまのご縁日であり、満月でもあります。是非この日にお参りいただき皆様の三毒の洗除と福徳円満の功徳をお持ち帰りください。

合掌

(酒井 太観)

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