信仰―法話コーナー

法話

敬う【2016年4月の法話】

皆様は「たにし長者」という昔話はご存知でしょうか?

むかしむかしあるところに、子供のない夫婦が毎日水神さまに子どもを授かれるようにとお祈りをしていた。産まれた子どもはなんと「たにし」だった。それでも夫婦は水神さまからの授かりものと思って大事に育てた。

二十年の歳月が流れ、長者さまに納める年貢の米俵を馬にのせて、上手に馬を操るたにし息子をみた長者は感心して、自分の末娘を嫁がせた。

一年が過ぎ、たにしと嫁は薬師さまのお祭りを見物しに出かけた。嫁はお薬師さまに願掛けをしたいからと言って、たにしを田んぼのふちに置いた。それを見ていた長者の姉娘はたにしの好きな餌をまき、たくさんのたにしをおびきよせた。次に「カラスでてこい、たにしやるぞ」と言うとたくさんのカラスがやってきて、たにしをつつきはじめた。

そこへ嫁が戻ってきて、慌ててたにしの上にはいつくばってかばった。すると帯の下のたにしが大きくなり、若者の姿になった。嫁の願いが通じて、たにしは立派な若者になったのだった。その後二人は商売をはじめる。たにしの亭主の話が評判となったおかげで店は大繁盛し、たにし長者といわれるようになった。という話です。

夫婦と嫁が神を信じて、願い続ける姿勢。そして願いを叶えてくれる神へのかぎりない感謝の気持ち。たにしの子どもを受け入れて、大切に育てる。期待したことではなかったと失望したり、怒ったりせず、自分たちに起きた出来事をあるがままに受け入れる。長者の娘も「たにし」との結婚を受け入れ、たにしの夫を大切に扱う。良いか悪いか、得か損かなどの個人的な価値判断をせずに、神から与えられた大切なものとして尊重して受け入れる事から始まるのである。

ありのままを受け入れるというのは、すなわち「敬」であります。「敬」とは、敬うこと。

神は人々の敬う心によって霊験があらたかになる。霊験があらたかであれば人々が幸せになるからである。だから祭りや慣習をおろそかにしてはならないと、昔の人々は大切にしてきた。見えないからこそ大切なのだと。

神仏を敬い、感謝と懺悔を忘れず謙虚に生きる。ただそれだけのことなのでしょうが難しいことです。日々怠らず精進して参りましょう。

合掌

(酒井 太観)

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