信仰―法話コーナー

法話

誇りと伝統【2013年10月の法話】

私事ながら宮島に奉職して四年半になりますが、その間にご縁をいただき「宮島芸能保存会」の一員として、盆踊りや餅つきなどの際、宮島の伝統芸能を継承する活動のお手伝いをさせていただいでおります。私が担当するのは三味線のパートですが、宮島踊りには踊り・唄・太鼓・三味線とそれぞれに担い継承すべき貴重なものがたくさんあります。しかしながら、会の活動は後継者の不足といった問題を抱えているため、幼稚園児や小学校の児童にも伝統芸能に親しんでもらおうという活動も行われています。

そうしたなか、最近では島外からも興味を持って活動に参加してくださる方々もいらっしゃいます。その方たちは、「近くに住んではいるが初めて見聞きした」「宮島にはこんなに素晴らしい伝統があるのですね」とよく話されます。私も宮島の生まれ育ちではないので、ご縁をいただくまではこうした伝統芸能が守り伝えられていることは知りませんでしたが、ご縁をいただいてからは伝統を守る大切さや難しさを肌で感じております。

周知のとおり、宮島は世界遺産にも登録された日本三景のひとつ、わが国屈指の景勝地であります。しかしながら、こうした後世に伝えていくべき素晴らしい伝統や歴史が息づいているのは宮島に限ったことではありません。各地を訪ねてみると、その土地それぞれの歴史や文化・伝統を見聞できますし、その土地それぞれの良さを感じることができます。また、そうして他の町を見聞した後、自身が生まれ育った町を顧みると、地元の町にも素晴らしい歴史や人々に受けつがれている文化・伝統があり、地元には地元の良さがあることに改めて気付かされます。

自身が住んでいる町や生まれ育った町、近くの町の良さといったものは、そこに住んでいるとあまりに身近過ぎて、たとえ肌で感じてはいても、なかなかその大切さや良さに気付くことはできません。しかし、他の町の歴史・文化を見聞し、その町の良さを感じることで、自身の町を振り返り、自身の町の歴史・文化を知り、自身の町の良さを実感することもできるようになるでしょう。他を知ることによって初めて知ることができる己というものもあるのではないでしょうか。私は、今ご縁をいただいている宮島の町、宮島の伝統はもちろんですが、自身が生まれ育った町も人に誇れる素晴らしい歴史ある町だと思います。そして同時に、それぞれの町に伝わる文化・伝統もまた素晴らしく、他に誇れるものであり、互いに尊重し合うべきものであると思います。

自身に所縁のある町の歴史や文化・伝統、そしてその町の良さを知り、郷土に対する愛をもつことは、即ち他の町・他の地域、更には他の国を知ることでもあり、それはそれぞれの良さを認め尊重し合うことに繋がるのではないでしょうか。私はこれからも地域の伝統を大切に、誇りと郷土愛をもって守り伝えていく活動のお手伝いを続けたいと思っております。

合掌

(日高誠道)

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