信仰―法話コーナー


法話

今日の道 【2007年4月の法話】

一服の薬は、人の生命を救い、生きる喜びをも与えてくれますが、一歩誤ると、人の生命を奪い、更に生活に悲劇をもたらします。

私たちが常日頃、何気なく喋る一言も一服の薬と同じように、一言がその人の心を暖め、生気を与え、奮起もさせてくれますが、たったの一言が、人の心を傷つけ、生活を破壊し時には死に至らしめることすらあります。

過日、人間ドッグにて検査したその時、お医者の先生から、年齢にくらべて内臓がしっかりしていますね、と言われました。その一言が、今まで生活に追われて、自分のこと以外考える余裕のなかった私に、両親のことを思い出させてくれました。父は長命でしたが、他界して三年になります。父は厳しく、私にとってはまことに怖い存在でした。とても、辛いことがあって泣いて帰ると、「人生こんなものじゃない、修行だ泣くな。」というのが口癖でした。母は黙々と不平不満も言わず、よく働き、家事をしながら、勉強のめんどうをみてくれたり、それとなく調理の仕方や食べ方など教えてくれました。

「父は照り、母は涙の露となり、同じ恵みに育つなでしこ。」
お医者に誉められるような立派な身体を生み育ててくれた両親に、今更ながらありがとうございましたと、涙が出ました。

「人の此の世に生まるるは、宿業をを因とし、父母を縁とせり、父に慈思あり、母に慈思あり、父にあらざれば生まれず、母にあらざれば育たず、此れを以て、気を父の胤(たね)にうけ、形を母の胎に託す。父母の恩重きこと、天の極まりなきが如し、かくの如き思徳、如何にして報ずべき。」佛教父母思重経に説かれている言葉の重さを痛感します。

今、私たちは、物質の豊かさ、便利さに惑わされて、来た道、ゆく道、同じ道、みんなが通る今日の道、通りなおしのきかぬ道。

自分の通る今日の道、通りなおしのきかぬ道、しっかりできているのでしょうか。


(虻川義照)

閉じる 

NMJNet Market Japan Corp.