信仰―法話コーナー


法話

お盆とは【2003年8月の法話】

 「お盆」を正しく書くと「盂蘭盆会(うらぼんえ)」です。この語は、梵語のウラバンナがそのまま現在まで残っているものです。こんなに身近に古代インドのことばが日本語化して残っている例も珍しいのではないでしょうか。
 もちろん、七月十三〜十六日の四日間(旧盆)、祖先の霊を迎えて祀る行事ですが、その起源には二通りの説があります。一つは、インドの農耕社会に見られた祖先崇拝に発したもので、子孫が絶えて供養されない霊は「倒懸」つまり逆さ吊りの苦しみを受けるとされていました。ちなみに、この倒懸を意味する梵語アラバンバナが、盂蘭盆会へとなまっていったともいわれています。
 そこで霊前に飲食(おんじき)を供えて供養していたのですが、やがてこの民間信仰は仏教へと入りまじっていきます。
 もう一つの説は、釈迦の弟子の目蓮が餓鬼道に墜ちた母親を救済すべく釈迦に教えを頼んだことに端を発しています。釈迦は、七月十五日の自恣(じし) (夏の終わりに僧が一堂に集まって懺悔しあう行事)のときに、飲食を供え、お盆にこの世の甘いものすべてをのせて供養餓鬼の苦しみから逃れるのですが、『盂蘭盆経』では、これがお盆の起源だとしています。
 いずれにしても先祖崇拝に、この盆の目的があることはいうまでもまりません。
 現在、お盆は月遅れの八月に行われるのが一般的ですが、十三日は「迎え盆」、十六日は「送り盆」であることは変わりありません。したがって「盆燈籠」を飾り、「迎え火」を焚くのも十三日の夕方。そして十六日に「送り火」とともに、先祖を送り帰します。
 またこの時期には、各地で盆祭りが行われます。屋台が出たり、花火を打ち上げたりとにぎやかで、心が高ぶるようなものが多くなりました。中でも盆踊りは、昔のそれとは大きく変わったようです。もとは、盂蘭盆会が夏場、野外で霊を慰めたことから始まります。ただでさえ暑い夏の夜、そして寺院の境内です。死者を思う人々は、知らず知らずのうちに連帯の和を作り、闇の中の興奮に酔い、輪となって踊り始めました。
 この盆踊りが始まったのは、室町時代の初めごろで、当時の踊りは「念仏踊り」。静かなものでしたが、以降、娯楽が少なかったことも反映し、踊りはエスカレートする一方となり、「阿波踊り」のようににぎやかなものが生まれました。
 祭りの雰囲気に興ずるのも結構ですが、先祖に心を向け、感謝することを忘れないでほしいものです。 (亀井山法秀)


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