信仰―法話コーナー

法話

■大切な預かりもの 2000.4.1

 今、日本の社会の中で、わたしたちは、親が子どもを「つくる」のだと考えています。この「つくる」という考えで親がいるから、いろいろな問題が生じてきます。だから結婚しても、子どもを「つくる」のはまだ早いからやめておこうとか、ひとりいればあとは大変だからもうやめよう、などと考えるのです。子どもは、そんな親の勝手で「つくる」ものではありません。

 子どもについて昔の人はどう考えたかというと「彼岸」の考えでいました。つまり、子どもは仏さまから「預かる」ものと思っていました。これが「彼岸」の考え方です。子どもは、仏さまからお預かりしている。という考え方に立ったとき、初めて親と子の出合いという意味を持ってきます。この考え方があれば、いくつかの家族の問題を解決することもできます。

 例えば、もし身体の不自由な子が生まれたら、精神の遅れた子が生まれたら、その子の将来を案じて、いろいろ思い悩むかもしれません。また、現実の子育ても仲々大変な面があるでしょうし、ときには、精神的にも疲れ果ててしまうことがあるかもしれません。

 周囲の人の中には、あなたが自分で勝手につくったのだから、自分で面倒をみるのは当然のことだと考える人もいるかもしれません。しかし、昔はそうではありませんでした。この子は、少しだけ身体が不自由だ。それで、仏さまは、この子をだれに預けようかといろいろお迷いになりました。へんな夫婦に預けると、この子はきっと不幸にされてしまいます。でも、あなた方夫婦なら、きっとこの子を幸せに育ててくれると、仏さまがわたし達夫婦を信頼されてこの子を預けてくださったと親がそう思ったとき、初めてその子と出合ってよかったと思えます。この子をしっかり育てていこうという決意が生まれてきます。

 現代日本では、自分でつくった子なんだから、自分の子どもだけは、何としても苦労無しで一流の人生を送って欲しい。それが、子どもの幸せだと思っています。勉強が嫌いな子に他人の子と比べて成績のことばかりガミガミ言う。知らず知らずのうちに、子どもにプレッシャーを与えている。学校で、いじめがある以前に、もうすでに親が子どもをいじめているのです。学校の成績がいい者だけが幸せになれるのだったら、世の中何パーセントの人間しか幸せではありません。あとの人間は、上位に入っていないからといっていじめられる。そんな社会を作ってはならないのです。

 わたしたちの子どもは、みんな仏さまからお預かりしているものです。この子に対して仏さまが何を望んでおられるのかを、しっかりと見極めたとき、親は、初めて、子どもを育てることができ、本当の意味での幸せをつくってやれることができるのではないでしょうか。




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